インストラクター執筆エッセイ2011/アダチ音研

2011年12月 第三十三回

「音を伝える」written by浜中洋輔


みなさん、プロの定義って何だと思いますか?
・演奏でお金を貰ったら、プロ!
・プロとアマチュアの違いはリズムだ!
これらは「プロ」を定義する時に、よく使われる言い回しです。

確かにこれらも「プロ」の定義の一つだと思います。
しかし、私が考える「プロ」とは「音を人に伝える事が出来る」という事です。
これは楽器の演奏が上手い下手とは、全く別の問題なのです!

例えば、シンガーの場合カラオケに行くとみんな凄く上手だと言ってくれる。
しかし、ライブハウスなどで耳の肥えたお客さんの前で歌ったら「上手いんだけど、何か伝わって来ないんだよね。」と言われる。

次にギタリストによくある例です。
いざ事務所も決まってレコーディングをする場合に、ちゃんとコードやフレーズ・ソロも弾けているんだけどプロデューサーやアレンジャーに「もうちょっと、音が伝わってくる感じで弾いてもらえる?」と言われた。初めはその意味が分からないで、凄く苦労した。

これらは現在活躍しているプロ達が、自分のミュージシャンとしての駆け出しの頃を語る時によく言うフレーズです。

それでは、どうしたら「音を伝える」事が出来るのでしょうか?
それは、人前で演奏する「機会」を沢山作る事です。

最初は、前出の様な事を言われるかもしれません。
しかし演奏の機会を重ねていくと、ある時に「お客さんが自分の演奏で感動してくれた」という体験をするでしょう。
その時の演奏した感覚が習得出来れば、それからは常に「音を伝える」演奏が出来ます。

具体的なアドバイスではありませんが、人というのはそれぞれ表現の仕方が違うのです。
沢山演奏をして、自分なりの「音の伝え方」を習得して下さい。

2011年11月 第三十二回

「音楽と歴史」written by 上野高史


音楽といっても、数え切れないくらいのジャンルがありますよね。
一つのジャンルを取り上げても時代や地域によってさらに枝分かれしていたり・・

例えば「ジャズ」というジャンルを取り上げてみましょう。
1890年代から1910年代にアメリカで流行したジャズが出来るきっかけとなったコミカルな雰囲気が特徴の「ラグタイム」。
ラグタイムをバンジョーやブラスバンドで演奏するようになり、「デキシーランドジャズ」のスタイルが確立。 

1930年代には大人数でジャズを演奏しようということで「ビックバンド」時代へ。
同じ1930年代でもフランスではフレンチジャズと呼ばれる「ジプシージャズ」が大流行。

1940年代アメリカではアドリブソロの競い合いから発生した「ビバッブ」。
1950年代に入るとマイルス・デイヴィスによって確立された「モードジャズ」。
近年では他のジャンルの要素をジャズに取り入れることにより、新たに確立されたジャズのスタイルもあります。

このように一つのジャンルでもそのスタイルは様々ですよね。
ギターの弾き方に注目しても、その時代ならではのスタイル、その地域ならではのスタイルなど、演奏方法も様々です。

この機会に一つのジャンルを時代別に聴いてはいかがでしょうか?
新たな発見があるかもしれませんよ^^

2011年10月 第三十一回

「音楽は心と技術」written by佐々木秀尚


楽器を演奏する上で最も大切なことは何か?と聞かれれば、僕は「心と技術」と答えます。「技術」とはその名の通り、楽器を演奏するテクニック。そして「心」とは伝えたいことや弾きたいイメージ、共演者や聴く人達を思いやる人柄、などです。

音楽はよく言葉や会話になぞらえますが、例えば、やたら英語に堪能な人が演説しているとしましょう。ネイティブと見まがう発音、素晴らしい語彙を駆使して演説は進んでいきます。

しかしその人には話したい事や伝えたい気持ちがさしてありませんでした。さて、この人の演説は感動できるでしょうか?もちろん、中身がなければ、いくら上手に話したところで、上辺だけになってしまいますね。

逆に、誰よりも熱い気持ち、信念を持っている人がいたとします。しかしこの人はほとんど英語がしゃべれません。さて、一生懸命身振り手振りで伝えようとしますが、果たしてこのプレゼンはうまくいくでしょうか?きっと、もっと語彙を増やし、スムーズに言いたいことを言えるようにすれば、もっと上手に伝えられるでしょう。

「人の話を聞く」ということも同じですね。相手の話していることが聴き取れなければ、会話は上手く進みません。もちろん「聴こうという気持ち」がなければ論外ですね。

伝えたい事、弾きたいイメージ、それを上手くアウトプットする技術。共演者の出している音を聴き、気持ちを汲み取り、それに呼応できるテクニックやボキャブラリーを備え、一緒にいい音楽を作りあげていこうとする人柄。

音楽って「心と技術」、この二つがどちらも本当に大事ですよね。

2011年9月 第三十回

「情報を上手に活用」written by森 寛信


楽器を演奏する者として誰しも憧れのアーティストの音源や映像を観たい、聴きたい、コピーしてみたい!となりますよね。
最近はインターネット等の普及で我々ギタリストたちにもとても便利で良い時代になりました。例えば、様々なライブ映像から音源(中には名演のギタートラックのみとかも)など簡単にインターネット上で見たり聴いたりする事が出来るようになりました。

ギター上達の為には、色々な演奏を観たり聴いたりする事がとても重要な事の一つです。
しかし、あまりにも手軽に手に入ってしまう為にちょっとだけ観て、聴いて、ただそれだけで終わってしまうケースも多々見られます。それでは非常にもったいないですよね(^_^;)
情報をもっと自分のギター演奏の上達の為に有効に使ってみましょう(^.^)

例えば、好きなソロなどを何度も聴く事によって、今まで聞こえていなかった部分に気が付いたりします。そして、そういった聴き方をする事によって音楽に対する「聴く耳」をトレーニングする事ができます。
映像からはどうやって弾いているのか?ポジションは?指使いは?右手、左手のフォームは?などを確認する事が出来ますよね。
こういった細かい所を突き詰めて行く作業をすると、他のギタリストとはひと味もふた味も違うギタリストに成長出来る事でしょう!

現在、世界中には沢山の便利な情報がありますが、それを自分でよ~く見極めて上手に活用出来るようになったら良いですね。
そして、気になったギタリストがいたらとことん掘り下げて研究してみて下さい。
そのギタリストがどんな音楽から影響を受けて、今のスタイルを形成したかなども調べてみるのもとても面白いと思います。
また機会があればライブにもどんどん足を運んで生の音を体験してみましょう。
いつの日か必ずその努力が自分のギター演奏に反映される事でしょう!

2011年8月 第二十九回

「キースリチャーズと5弦ギター」Written by 安達たけし


最近は、ギターという楽器も奏法やチューニングがかなり確立されてきましたが、
その昔は、実験的なアイディアをいろいろ取り入れたギタリストがたくさんいました。

その一人がローリングストーンズのギタリスト・キースリチャーズです。
キースリチャーズは、ライ・クーダーのスライド・ギター奏法の影響を強く受け、
自分の技の一つとしてオープンGチューニングを取り入れるようになります。
ライ・クーダーは「キースに盗まれた」と主張していますが・・・(^^;)

オープンGチューニングは6弦からD・G・D・G・B・Dにチューニングするのですが、
キースはコードを指1本で抑える際に6弦が邪魔だと言う理由で6弦を外してしまいました。
これはバンジョーの一般的なチューニングと同じです。
この5弦オープンGのギターは彼のトレードマークとなり、数多くのヒット曲がこのオープンGチューニングから生まれました。

キースのオープンGスタイルを代表する曲は
「ホンキー・トンク・ウィメン」
「ブラウン・シュガー」
「スタート・ミー・アップ」など・・・

オープンチューニングのギターというのも一風変わって面白い響きがするので、
みなさんも是非一度、聴いてみてください。

2011年7月 第二十八回

「ちょこっと毎日作戦」written by 本間尚樹


皆様初めまして。
2011年4月よりギターの東大インストラクターに就任しました本間尚樹と申します。

今回は自己紹介代わりといってはなんですが『練習を継続するコツ』について書きたいと思います。
キーワードは『ちょこっと、毎日』です。

まず練習を始める前にその日の目標を決めます。その際、必ず達成出来るように極力ハードルを低く設定します。例えば初心者の方であれば、『コードの押さえ方を一つだけ覚える』といった感じでしょうか。
そして、その目標は必ずその日の内に達成しなければなりません。

さて、その目標が達成されたらその日の残りをどうするのか。
僕の提案は『そこで終わりにする』です。

もちろん、時間があるなら好きなようにギターを弾けば良いのですが、次の目標は次の日に立てます。これを毎日続けます。

最初のうちはとても消化不良に感じる人もいるでしょう。
しかし、『まだまだ練習したりない』と思う事は実は毎日続けるコツでもありますし、ギターの上達には何より『継続』が大事なのです。

実際にこのやり方でも、毎日続けるのって意外と難しいのですよ。
もしさぼってしまったら、また次の日やればいいのであまり自分を追い詰めすぎないようにして下さい(笑)

真剣な人ほど、一度に多くの事を練習しようとして散漫になってしまう事があります。
人それぞれに合った練習法がありますが、もし伸び悩んでいたり練習が楽しくなくなってきたり何らかの壁に当たっている人はこの『ちょこっと、毎日』作戦を試してみてはいかがでしょうか?

2011年6月 第二十七回

「縁の下の力持ち、親指」written by 福田祐次


皆様初めまして!
この度GUITARの東大に新しくインストラクターとして入った
福田祐次です。これからよろしくお願い致します。

さて、みなさんが普段ギターのコードやフレーズを弾く時に気を付けている点などはありますでしょうか?

例えば・・・
・弦を押さえる指が綺麗に立たせられているか?
・ピッキングをしっかりとできているか?

これらはギターを弾く上でとても大切な事ですが、実は親指がしっかりしていないとギターは上手く弾けないのです。

指が弦に当たってしまってコードが綺麗に鳴らない、フィンガリングが絡まってしまうなどの原因はネック裏の親指の位置が悪い例などが挙げられます。

よくある例ですが、ギターを構え、ネックを握った際に親指がヘッド側に向いてしまう人がいます。

これでは他の指が自由に動きません。

実際に手をグーに握った状態から親指だけを立ててみて下さい。そしてその状態から指と指の間を広げてみて下さい。
するとどうでしょうか、指が開かないことがわかると思います。
このような状態では自由にフィンガリングする事は難しいですよね。

この事から親指の位置は、コードを押さえる際も他の弦に触らずに綺麗に鳴らす事ができるか、また、コードチェンジが素早くできるかという事に大きく関わってることが分かると思います。

これは余談ですが、普段は目立たない足の小指ですが足の小指がなければ人間は足で立つことが出来ないそうです。
見えない、目立たない所こそが実は表の部分を支えてるのです。

ギターにおいては親指がまさにそれで、縁の下の力持ちと言えるでしょう。

みなさんもどうしても弾けないフレーズやコードがあるときは一度親指の位置を変えて練習してみてはいかがでしょうか?

2011年5月 第二十六回

「エレキギターってなに?」written by 佐々木 秀尚


皆さんギターとアンプをシールドでつないで音を出したことがあると思います。さて、いったいどうして音が出るのか知っていますか?

エレキギターにはピックアップという部品が付いています。ピックアップには磁石のまわりを導線でぐるぐる巻きにした「コイル」が弦の数だけ並んでいます。このコイルの上を磁性体である弦が振動すると、導線には超微弱な電流が流れます。電磁誘導というやつですね(懐かしい!)。

つまりピックアップによって、弦の振動を電気に変換した訳です。一度電気信号にしてしまえばこっちのもの。エフェクターやらなんやらで好きなように加工します。そしてギターアンプ内のパワーアンプで大きな電流に変換し、スピーカーのコーン紙が振動し、それが空気の振動となって私たちの耳に「音」として聞こえるのです。

この一連の仕組みを知っていると、ギターの扱い方、音の作り方がわかってきますよ。

例えばロックギタリストが大好きな「ギャーン」という歪み系の音色。これはギターの電気信号を何十~何百倍にも増幅して、波形をぶっ潰してギャーンという音にしています。波形が潰れるから「歪み」です。どれだけ増幅するかを決めるのが「Gain」とか「Drive」と呼ばれるつまみです。

すごく弱いタッチで弾くとクリーントーンになりますが、ある程度強い音で弾くとギャーンとなる経験をしたことがある方は多いと思います。これは徐々に大きな音を出していくと、ある一定値から波形が歪み出すからなんですね。ということはGainが高ければ高いほど、弱く弾こうが強く弾こうが波形が潰れて同じような音になる訳です。また同じセッティングでもギターのボリュームつまみをうまく使って、クリーンと歪みを使い分けることも可能なのです。

ギターを上手くコントロールするには、ギターの音がどのように処理されているかを知ることも大事ですね。

2011年4月 第二十五回

「歌いながら弾く!」written by浜中洋輔


みなさん、普段ギターを弾いていてこんな事を感じた事は無いでしょうか?

・ソロの時に指は動くようになってきたけど、スケールをただ上下に繰り返すだけのソロになってしまう・・・
・スケールのポジションは分かってきたんだけど、ソロでどうスケールを使えば良いのかわからない・・

これらは全て「目の感覚」を使ってソロを弾いてしまっている為に起こる現象なんです!

もっとわかりやすく言いますと、「目の感覚」つまり「視覚」を使ってソロを弾いてしまっているんですね。
「視覚」で正しいスケールの配置・ポジションを確認して、その中で音を「間違わないように」使おうとしてしまっているので、一番大切な「ある感覚」を忘れてソロを弾いてしまっているのです。

ではソロを弾く時に、もっとも大切な「ある感覚」とは!?
ずばり歌う事です!そう!「聴覚を使う」という事なのです!!

あなたは自分の弾いたフレーズが歌えますか?もし歌えないのなら、そのフレーズはあなたの中から出てきたフレーズではありません。それは「視覚」を使って弾いただけの物なのです。

よく「頭の中で鳴っている音を弾く」という事を聴いた事があると思います。
それは自分の中で鳴っている音を瞬時にフレットボードに転換出来るという事です。

これは訓練すれば誰でも必ず出来るようになります!
まずは4音のフレーズから始めましょう。4音を色んなパターンで弾いてみて下さい。この時に必ず弾いている音のピッチを歌いながら弾いてみましょう。ラララーで構いません。
この練習を繰り返すと、次第にあなたの中で「弾いて歌っている音」が鳴ってくると思います。これは「頭の中で鳴っている音」を「ギターで弾く」という事が出来始めている事です。

練習の時には必ず歌って弾く癖をつけましょう!

2011年3月 第二十四回

「アコースティックギター」written by上野高史


アコースティックギターといっても、たくさんのメーカーから出されてますが、「マーチン派」と「ギブソン派」に分かれることが多いようです。

実際に弾き分けてみて初めてその違いがより分かると思いますが、私のイメージは、繊細で綺麗な感じの「マーチン」、極太でまろやかな感じの「ギブソン」。

ポップな楽曲でアルペジオをマーチンで弾くのも良いし、ボーカルとのデュエットをギブソンでブルージーに弾くのも味が出て良いです。

どちらも特徴が違うので、長年マーチンを使っている人はマーチンの特徴を効果的に出す演奏スタイルが出来ていますし、ギブソンを長年使っている人もギブソンサウンドならではの演奏スタイルになっています。

それはピッキング、アクセント、リズムなど、知らぬままギターのサウンドに合う弾き方に体が調整しているということですね。

よくアコギは弾けば弾くほど音が良くなると言われますが、それはたくさん弾いたからこそ、そのギターの鳴らし方が体で理解したからかもしれませんね。

2011年2月 第二十三回

「楽器の管理」written by 大沢 辰徳


みなさんギターの練習たくさんしていますか?
フレーズの練習、カッティングの練習、ピッキングやフィンガリングの練習等々・・

同じ練習方法でも、ギターの状態により練習の効果は大きく変わってきてしまいます。
状態の悪い楽器で練習を続けてしまうと、そのギターの状態に合わせて自然に自分のフォームを調整してしまいます。
また気がつかないくらいほんの少しネックが反ったり弦が古くなっているのかもしれない・・・
そのほんの少しの違いで指の動きが悪くなったりピッキングに余計な力が入ってしまうのです!

私が今まで見た数々のすばらしいギタリストは100%、状態の良い楽器を使っていました。そして少しでも弾きにくいと感じたら、自らその場で調整を行っていました。

フレット交換などの大掛かりな調整は専門家にお願いすることをお勧めしますが、弦の劣化やネックの反り、弦高調整やオクターブ調整などは自分でも出来るようになっておくと良いでしょう!
これらは常に狂ってしまう可能性がある部分です。また楽器屋さんに持っていくと時間も費用も掛かってしまいます。

常に自分のギターの様子を観察し、ケアできるようになりましょう!
良いギタリストになるためには、ただ楽器を弾くことだけに集中するのではなく同時に自分の楽器の管理をしてあげられる事も良いギタリストになるために必要な技術だと思います。

2011年1月 第二十二回

「耳コピの大切さ」written by 森 寛信


ギターを始めて最初の数年間を独学でやっていた私にとっての練習法は、主に色々なアーティストの演奏を真似る「コピー」でした。

最初は雑誌などを見たり、友人に聞いたりしながらコピーをしていました。
しかし実際に書いてあるように弾いてみても「何か違う?」と思う事が増えてきました。

そこで上手い先輩に聞くと「わかるまでひたすら聞け!あとは気合だ!」と言われました。
単純だった私は自分の耳を頼りにカセットテープ(当時はこれだけだったんです。)が伸びるまで再生と巻き戻しを繰り返して少しずつ音を拾っていく作業を沢山やりました。
いわゆる「耳コピ」ですね。

今思うと沢山「耳コピ」をしたことで、譜面には表せない“微妙なニュアンス”(実はここが一番大事)が聴き分けられるようになったり、自分でもその“微妙なニュアンス”をギターで表現出来るようになりました。

もちろん表面的にマネするだけでは「単に弾けるようになった」というモノマネだけで終わってしまいますよね?

それで満足しないで自分はそのフレーズのどこに惚れたのか?

また、かっこよく聴こえる「肝」は何なのか?

を考えて、きっちり自分のモノにする事が重要です!
「すべては模倣から始まる!」

みなさんも是非「耳コピ」をしてみてください。

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